とあるエンジニアの備忘log
2012年11月15日木曜日
ARM 命令の条件ビット
ARM 命令の条件フィールドについてまとめておきます。 - N フラグ: 命令の結果を符号付き整数と見て負のときにセット、その他の時にクリアされる - Z フラグ: 命令の結果がゼロであるときにセット、その他の時にクリアされる。 - C フラグ: 比較命令(`CMN`, `CMP`)を含む加減算においてキャリー、 またはボローが発生したときにセット、その他の時にクリアされる。 また論理演算時のシフト動作ではシフトによるキャリアウトの結果が C フラグに反映される。 - `V`フラグ: 加減算命令において符号付きオーバーフローが発生するとセット、 それ以外の時に零セットされる。 `ADDS` 命令の場合、 `ADDS
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` の動作としては以下のようになる。ただし、 `Rd` が `r15(pc)` ではない場合。 Rd = Rn + shifter_operand N Flag = Rd[31] Z Flag = if Rd == 0 then 1 else 0 C Flag = CarryFrom(Rn + shifter_operand) V Flag = OverflowFrom(Rn + shifter_operand) `SUBS` 命令の場合、 SUBS
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の動作としては以下のようになる。ただし、 `Rd` が `r15(pc)` ではない場合。 Rd = Rn - shifter_operand N Flag = alu_out[31] Z Flag = if alu_out == 0 then 1 else 0 C Flag = NOT BorrowFrom(Rn - shifter_operand) V Flag = OverflowFrom(Rn - shifter_operand) `CMP` 命令は結果をレジスタにセットしないが、フラグのセットのされ方は `SUBS` 命令と同じ。 C は符号なし整数として、Carry/Borrow が発生したかを示すのに対し、 V は符号あり整数として、Overflow 発生したかを示している。 ##### 命令を条件付きで実行する場合の条件フィールド ##### cond Mnemonic Meaning Condition flags ----------------------------------------------------------- 0000 EQ Equal Z==1 0001 NE Not equal Z==0 0010 CS(HS) Carry set C==1 0011 CC(LO) Carry Clear C==0 0100 MI Minus, negative N==1 0101 PL Plus, positive or zero N==0 0110 VS Overflow V==1 0111 VC No Overflow V==0 1000 HI Unsigned higher C==1 and Z==0 1001 LS Unsigned lower or same C==0 or Z==1 1010 GE signed greater than or equal N==V 1011 LT signed less than N!=V 1100 GT signed greater than Z==0 or N!=V 1101 LE Signed less than or equal Z==1 or N!=V 1110 None(AL) Always Any - HS (Unsigned higher or same) は CS - LO (Unsigned lower)は CC と同じ。 やってしまいがちなのは、符号なし整数の比較(例えばアドレスの比較)をしたあと、 条件判定に `lt` や `gt` などを使っているケース。 組み込み系でよくあるブートシーケンスで RAM へコードを展開しているコードですが。。 copy_loop: ldmia r0!, {r3 - r10} @ copy from source address [r0] stmia r1!, {r3 - r10} @ copy to target address [r1] cmp r0, r2 @ until source end addreee [r2] ble copy_loop ここで `r1` に `0x70000000`, `r2` に `0x80000000` が入っていたりすると、 意図せずに、ループから抜けてしまいます。 `le` は `signed` での比較になるわけだから、 `0x70000000` と `0x80000000` を比較して「小さい」とはならずに `0x70000000` と `-0x80000000` を比較して 「大きい」という判定になるはずだから。 というわけで、この場合 `ble` ではなくて `bls` を使うべきですね。
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